戦う税理士 小栗のメールマガジン 

「大阪地裁で新たな判決が出ました(行為計算否認)」No.1008

皆さん、こんにちは!戦う税理士の小栗です。

職業柄、税務関係の判例はよく読むのですが、

同じような事例でも時期や地域によっては

別の解釈で判例が出ることは少なくありません。

特に、同族会社の税務では

「租税回避(節税以外の目的がない)」をめぐって色々な判例が出ています。

今回ご紹介するのも、東京では納税者が勝訴したのですが、

大阪では国が勝訴したという事例です。

ということで今回の

「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは、

「大阪地裁で新たな判決が出ました(行為計算否認)」 です。

事業をしていると、成功するばかりではなく何年も赤字が続くということもあるでしょう。

それが子会社の赤字となると親会社が黒字でも、

その赤字を使うことが原則できませんから、

子会社を合併させて赤字を親会社の黒字と通算するということは良くあります。

これは一定の要件を満たすことで法的には問題はありません。

今回のケースでも、法的な要件を満たしているのに

「租税回避」として認められなかったということです。

簡単にまとめると

・親会社X社には数年赤字が継続する子会社A社があった

・A社はA社の事業を引き継ぐB社を会社分割で設立した

・X社はA社を吸収合併してA社の赤字を引き継いだ(約12億円)

・B社は社名をA社としてA社と全く同じ事業を継続している

このような事例です。

そして判断は、合併後もA社の事業は継続しており

何も実態は変わっていないのにも関わらず、X社の法人税だけが減っているのはおかしい。

ということで否認がされています。

この行為には法令違反は何もなく、

グループ経営を効率よく行うために行われた組織再編という気がします。

実際にこの提案は銀行のコンサルティング部隊からの提案で行われたと書いてあります。

「同族会社の行為計算否認」という、

法令違反ではないが不当に租税を逃れている行為には

税務署長(国税局長)の判断で否認ができるという規定については、

皆さんもお聞きになったことがあるのではないかと思います。

実務でもこの規定があることで、

経営者の方が思い切った手を打てないという弊害も実際のところ存在します。

まだ地裁の判例ですから、今後どうなるのかは分かりませんが、

税務当局は何を基準に問題視しているのでしょうか。

ここを理解しておく必要があります。

ポイントは2つです。

少し難しい表現をしますがご容赦ください。

①当該法人の行為又は計算が、通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり、
実態とは乖離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどうか(考慮事情①)

②税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの
合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか(考慮事情②)

銀行のコンサルティング部隊との協議の内容を精査したところ…

という表現が出ているところを見ると、

私の推測では、上記の2ポイントが説明されている、あるいは検討されている資料が

なにもなかったのではないだろうかと思います。

メルマガでも何度も書いていますが、

「なぜそれをする必要があったのですか?」という問いに対して、

「これこれこういう理由からです。この資料をご覧ください」

といった説明ができるようにしておくというのが、最善のガードです。

それでも充分であるかどうかは分かりませんが、

影響の大きい取引である以上は

法令違反がないからということでノーガードで済ますということだけは

少なくとも避けていただきたいなと思っております。

今日は少し難しい話でしたが、

会社経営にとっては重要な部分ですので、

ぜひ心がけてください。

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