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戦う税理士 小栗のメールマガジン
「私的整理の手続きについてまとめてみました」No.1007
皆さん、こんにちは!戦う税理士の小栗です。
たまたまゴールデンウィーク中に相談を受けた内容なのですが、
特殊ではありますが非常に重要な知識ですので良い機会だとまとめてみました。
「友人の会社が私的整理の手続きに入るという連絡を受けたんだが、
この私的整理というのは倒産したということとは違うんだよね」
相談はこんな内容でした。
倒産や再生のニュースが増えていることもあり、
皆さんの周りでも耳にする機会があるかもしれませんね。
ということで今回の
「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは、
『私的整理の手続きについてまとめてみました』 です。
私的整理とは、裁判所を使わずに、主に金融機関と協議して
債務カットや返済条件の変更を行う手続のことです。
ですから、倒産をしたということとは当然に違います。
最大のメリットは、取引先や従業員に知られずに進められる点です。
ただしデメリットもあり、対象となる金融機関が1行でも反対すると
成立しないという厳しい側面があります。
そのため、弁護士・税理士などの専門家がチームを組んで、
金融機関との交渉を丁寧に積み上げていく必要があります。
実はこの私的整理については、ここ数年で制度は大きく進化しています。
中小企業版私的整理ガイドライン(2022年開始)
・第三者機関を置かず、弁護士と金融機関で進める柔軟な制度。利用が急増中。
早期事業再生手続(2026年開始)
・私的整理なのに“多数決”で成立する新制度。非保全債権の4分の3が賛成すれば成立し、
裁判所の認可も得られるという画期的な仕組みです。
これらの制度が整備されたことで、企業再生の選択肢は大きく広がりました。
他にもポイントはあります。
中小企業の再生では、経営者保証の扱いが最大の悩みどころです。
「経営者保証ガイドライン」に基づけば、破産とは異なり、
自宅や一定の生活費を残したまま再スタートできる可能性があります。
再起支援の観点からも非常に重要な制度です。
そして最大の論点は税務です。
私的整理で最も注意すべきなのが、債務免除益課税です。
企業再生税制(過去の繰越欠損金が使える税制)が使えるのは、
事業再生ADRと中小企業再生支援スキームの2つだけです。
この制度の詳細な解説は割愛させていただきますが、
それ以外の手続では「恣意性がなく合理的な再建計画」であることを
税務署に説明できなければ、欠損金の活用が認められない可能性があります。
さらに、債権者側でも債務免除が「寄附金」と判断されると無税償却ができず、
金融機関の同意が得られにくくなるという問題もあります。
つまり税務の設計を間違えると、
そもそも再生計画が成立しないこともあるということです。
この辺りは税理士としての腕の見せどころですね。
少しまとめておきましょう。
私的整理は「倒産の一歩手前」というイメージを持たれがちですが、
制度は大きく進化しており事業を守るための前向きな選択肢になっています。
ただし、制度ごとに税務の扱いが大きく異なるため、
「どのスキームを選ぶか」で結果が180度変わることもあります。
皆さんの周りでも話題に上ることがあるかもしれませんが、
必要以上に不安にならず、正しい知識を持って冷静に判断することが大切です。
弁護士や会計士との連携がとても大切で複雑な仕事ですが、
お悩みになられた時には悩む前にご相談ください。
では、次回もお楽しみに。
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