戦う税理士 小栗のメールマガジン 

「ZOZO創業者 前澤さんの社債スキームはなかなか面白いですよ」No.986

皆さん、こんにちは!戦う税理士の小栗です。

最近、新聞紙上を賑わしたニュースというと、

「ZOZO」創業者で実業家の前澤 友作氏の資産管理会社に対し、

東京国税局が2023年3月期までの4年間で、約4億円の申告漏れを指摘していたというニュースです。

申告漏れのニュースはたまに見ますが、前澤さんという有名人の事件であり、

かつ、理由が養育義務のある子供の親に対する生活費の援助が

目的だったということで注目されてしまいました。

ということで

今回の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは、

「ZOZO創業者 前澤 さんの社債スキームはなかなか面白いですよ」です。

取引の詳細は新聞や雑誌をお読みいただきたいのですが、概要は次のとおりです。

・知人に資金を渡すために、前澤さんの資産管理会社が社債を発行した

・顧問税理士が関与しているコンサルティング会社がその社債を引き受けた

・コンサルティング会社は社債を発行し、その社債を知人が引き受けた

・知人は社債の引き受け費用を前澤さんの資産管理会社から借りた

・資産管理会社は社債の利息を経費にし、知人は社債利息を受け取った

こういう感じです。

今回は資産管理会社が支払った社債の利息が経費にならなかったというもので、法人税の問題です。

一時期流行した私募債スキームの変則版で二階建て私募債にすることで

表面的には法令通達に違反のないように工夫がされています。

では、何を問題にされたのかということですね。

最終的に利息を受け取った前澤さんの知人に

子供の養育費を渡すために社債利息を使ったとみなされたようです。

社債利息の税金は優遇されており約20%しかかかりません。

もし、他の方法で受取っていたとしたら、

所得税ないしは贈与税で50%以上の課税がされていた可能性があります。

課税当局はこの点を問題にしたということですね。

ここで疑問があります。

違法性がないのになぜ否認をされてしまうのか?皆さんも疑問に思ったかもしれません。

適用された法律は「同族会社の行為計算否認」という、

表面的には適法でも租税回避とみなされる取引は税務署長が是正できる、

という伝家の宝刀とも言われる条文です。

裏を返すと租税回避でなければ問題はないとも言えます。

特にこの私募債スキームは、高額所得者や富裕層が税率の差を利用して節税をするということで、

使えなくなったという経緯がありましたから、より厳しく見られたのではないでしょうか。

取引の背景まで詳しく報道されていませんから分からない部分も多いですが、

・前澤さんの資産管理会社は社債を発行して、その資金を何に使うつもりだったのか

・なぜ引き受け手のコンサルティング会社が再度社債を発行したのか

・知人は借入をしてまで社債を引き受ける必要があったのか(しかも前澤さんから)

これらの素朴な疑問に対して明確な回答ができなかったのではないかと私は思っています。

節税を考えることは悪いことではありません。

ただし、もし節税に定義があるのだとすると

「適法なAという手法とBという手法のうち、より納税額が少ない方を選択すること」

ということであり、決してCという流れを作り上げてしまうことではない、

という点には注意をしていただければと思います。

では、次回もお楽しみに。

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