合資会社の持分払戻請求権は「みなし配当」となりますのでご注意を。

こんにちは。

戦う税理士の小栗です。

今年は花粉が例年になく大量に飛んでいるそうで、

アレルギー体質の私は薬を服用していても

目の痒さの度合いで例年よりも酷いという事は感じております。

 

最近はあまり見かけなくなってきたのですが、

合資会社・合名会社というと昔からある老舗の会社の証のようで

好んで使っていた時代もありました。

今は最低資本金の問題もなくなりましたので

ほとんどの会社が、株式会社が中心となっていますね。

ということで、

今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは

「合資会社の持分払戻請求権は「みなし配当」となりますのでご注意を」です。

合資会社や合名会社の無限責任社員は

無限定で会社の債務などに責任を負うことになっています。

株式会社の場合には出資者の責任は出資金額までですし、

株主に相続が発生すると相続人が引続き株主になります。

ところが合資会社や合名会社の場合には、

出資者に相続が発生した場合には、

その出資金は相続と同時に持分払戻請求権という金銭債権となり

会社は現金で払い戻しをしなければならないことになっています。

従いまして相続税法上も株式の評価という考え方にはならず

出資金の時価で評価をすることになります。

また、払い戻された金銭が出資金額を上回る場合には

「みなし配当」として総合課税の対象となります。

このように、以前から持分会社の出資の問題点が指摘され

早期に株式会社への組織変更をするなどして対策が行われていました。

今回ご紹介するのは、

合資会社の出資者に相続が発生したのですが

出資者全員の合意で払戻金は0円だと決めて

実際に金銭を受け取っていなかった場合でも、

「みなし配当」として所得税の課税を受けた

という事例が審判所から出ております。

これは相続人からすると何も受取っていないのに

課税があるのはおかしいという理屈で争っているのだと思いますが、

法的な根拠が出資者の死亡で出資は払戻請求権になる

という所にありますから

私は、課税は仕方ないことだろうと思っています。

当然、所得税だけではなく相続税にも影響があったはずです。

だったら合資会社ではなく株式会社にしておいたのにと

悔やんでいるかもしれませんが、

現在残っている合資会社や合名会社にもそれなりの理由があるはずです。

家族経営を中心としているので合資会社が優れているとか

歴史があるとか色々な事情もあるでしょう。

では、この会社はどうしておけばよかったのでしょうか。

これは意外にも答えは簡単です。

定款を変更して社員(株主)に相続が発生した場合には、

その持分を承継(相続)することができるという規定を

盛り込んでおけば、出資者の相続=みなし配当 

にはならなかったはずです。

たったこれだけのことですが、知っているか知らないかで

課税が大きく変わってしまうのが税法の怖いところです。

周りに合資会社や合名会社を経営されている方は

多くはないかもしれませんが、

もしお知り合いがいらっしゃいましたら

ぜひ教えてあげてください。

必ずしも株式会社にしなくとも

安心して経営ができるようになるかもしれません。

では、次回もお楽しみに。

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