使用貸借も使い方によっては効果的な対策となります。

こんにちは。

戦う税理士の小栗です。

去る7月5日開催の「事業承継カンファレンス」は

国際センタービル大ホールに

たくさんの方にお越しいただき

成功裏に終わることができました。

すでに2か月が経過しておりますが、

まだご依頼の提案書のフォローが追い付かない状態で、

わざわざ私のつたないセミナーを

聞きに来て頂けたメルマガ読者の方々にも

この場をお借りいたしまして、

厚く御礼申し上げます。

さて、

セミナーでは自社株対策を取り上げましたが、

今回は不動産の対策です。

ということで、

今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは

「使用貸借も使い方によっては効果的な対策となります」です。

「使用貸借」という

民法の契約形態はご存知でしょうか。

例えば

親の土地を無償で借りて

子供がその土地の上に家を建てる。

よくありますよね。

この無償で土地を借りる契約を「使用貸借」といいます。

今回取り上げる事例は

多額の駐車場収入がある親から、

その土地を無償で借受けて

駐車場経営を引き継いだ子供のケースです。

少し複雑なケースなのですが、

簡単に整理をしておきます。

・親はその駐車場から約1,000万円の収入を得ていた。

・子供はアスファルト等の設備を親から無償で贈与を受けた。

・土地は「使用貸借契約」とした。

・その年度以降の収入は子供が確定申告をしていた。

・1年7か月後の税務調査で駐車場収入は親に帰属すると認定された。

こんな感じです。

いかがでしょうか、

何が問題だと思いますか?

課税当局は、

土地に関わる収入は「所有者課税」が原則なのだから、

そもそも子供には引き継いでいないと主張をしました。

さらに、

使用貸借契約の内容を当事者が理解をしておらず

有効に成立していない。

これが否認の根拠です。

結局このケースでは、

大阪地裁で課税側の指摘が

すべて取り消されて納税者勝利となっています。

このメルマガでお伝えしたいことは、

このケースでは法形式上では

おかしなところは何もないという点です。

駐車場という施設があり、

それを適法に引き継いだ段階で

課税の当事者が

親から子供に切り替わっているということは

紛れもない事実です。

それにより、

多額の収入が子供に移行しているという事と、

不自然かつ過度な

節税であるということは関係がありません。

親子の間で土地を無償で使用貸借をする、

これもよくあることです。

相続対策として

利用を検討していただくのも

問題はありません。

ただ、

この判例でも指摘されていますが、

そもそも使用貸借というものを

当事者が理解しておらず、

課税当局にも

その内容や理由を説明できなかったということは

かなり問題だと思います。

たまたまこのケースでは、

その他の事情で

説明が上手くできなかったことが認められておりますが、

いつもこう上手くはいかないでしょう。

メルマガで何度もお話をしておりますが、

「なぜ」その方式を採用したのか、

その他のやり方はなかったのか。

こういったことを

事前に検討しておくことが、

正しく安全な節税につながることになります。

今回のケースでも、

使用貸借ではなく

低額な賃貸借という選択肢もあったと思います。

いずれにしても、

専門家の指導を仰ぐ必要性は

こんなところにもあるのだということも

分かっているといいですね。

では、次回もお楽しみに。

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